【里桜】
「きゅぅぅぅ……」
なんとか、落下ポイントには間に合ったらしい。
俺は、里桜の肌を傷つけることなく着地させることに成功していた。
さすがに、体勢を崩さずに人一人を支えられるわけもなく、
腰から崩れ落ちていったにも等しい状況だったけど。
【光彦】
「ぐ……ぉ……なんだ、これ……」
どうにかして起き上がろうと、手足に力を入れた時だった。
思うように身動きが取れない状態に、はじめて気付く。
まさか、骨でも折ったのか。
いや、違う。痛みも痺れも殆どない。
【里桜】
「あ、あぅあぅ、光彦ごめんね、あたし重いよね、すぐどくから」
【光彦】
「ちょっと待て。無闇に動こうとするなって」
【里桜】
「けど……あ、あのその、今あたし、光彦のこと押し倒しちゃってる感じだし、それに……手が……」
里桜が慌てるのも無理はない。
抱き止めた拍子に、俺の指先は寸分の狂いなく、
ぷるんとしたお尻を鷲掴みにしていたからだ。
【光彦】
「わ、悪い。けど……」
【里桜】
「そ、それは、あたしだってこうしていたい……
えっと、ち、違くって、そんな意味じゃないんだけど、だけど!」
【里桜】
「さっきのモンスターも倒してないし、みんなが見てる前なんて破廉恥よね。
うん、絶対いけないんだから」
今一、言っていることがよくわからない。
突っ込もうにもどこから……と考えている隙に、
里桜の上体が起き上がろうという意思を持って蠢く。
【里桜】
「……っ!? ひぁ……!」
……けど、その試みは失敗に終わる。
強制的に、俺と里桜は密着状態へと戻されていた。
原因は、里桜の身体を覆っていた粘液だ。
食虫植物もどきの吐き出した体液は、得物を捕まえるために
蜘蛛の糸のようなねばつきを持っていた。
【光彦】
「……く……ぅ……」
【里桜】
「ふぁ、あぅ……光彦ぉ……」
しかも、具合の悪いことに、お互いの大事な部分が触れ合っている状態で、
二人の身体が固定されてしまっている。
それが、わかってしまう。
粘液のせいで再びひっついてしまった時に、
ズボン越しにほんわりと温かい部分が擦れたからだ。
【光彦】
「う、うぅっ、そんなことしてる場合じゃ……」
【里桜】
「そ、そうよ。モンスターだっているんだから」
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