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赤い十字マークがついた箱を、おもむろに開ける。

何か、熱に効く即効性の薬は……。

【光彦】
「湿布……じゃなくて、錠剤……って食後服用だし……! これは……」

目についたものは、確かに一番効きそうで、けど最も古風な代物だった。
……それに、これを桃花に、いや女の子に使うとなると、幾分気が引ける。

【桃花】
「くぅ、うぅ……藤見、先輩……それ、ください、です……」

【光彦】
「羽衣? いや、でも……」

【桃花】
「でも、他にないん、ですよね……だったら、座薬……入れて欲しい、です」

そう、座薬だ。
しかも、多分に成人男性向けの、かなり大きなサイズのヤツだ。
救急箱に入っていた薬では、確かに良さげなものはこれしかない。

【桃花】
「いいん、です……身体、熱いの……我慢できなくて……」

【桃花】
「それに……藤見先輩のこと、信じてます、です……」

…………。
熱っぽさが、誤って別の意味に伝わってきた。
桃花の懇願が、何か違う響きにも聞こえる。
いや、そういう邪な発想をしている場合じゃない。
雑念を捨てて、今は熱を冷ますことだけを考えよう。

【光彦】
「そ、それじゃあ、羽衣……」

【桃花】
「……少し……待って……私、自分で脱ぐ、です……っ」

目の前に、まん丸の小さな丘が二つ現れる。
ちっちゃな外見そのまんまの小尻が、ふるふると震えていた。
そして、可愛い窄まりが、ずらされた下着の下から見え隠れする。
思わずつばを飲み込みそうになるのを、ぐっと堪えた。

【桃花】
「……先輩、入れるとこ、見えますか……?」

【光彦】
「あ、ああ。大丈夫、綺麗な皺がひくひくしてるところまで、ちゃんと見えてる」

【桃花】
「……っ、恥ずかしいこと、言わないでください、です」

【光彦】
「う、わ! ごめんっ!」

決して悪いことをしている訳じゃないけど、どこか申し訳ない気分になってしまう。
いや、これは人助けなんだ。
お薬を入れるだけなんだから、やましいことは何もない。
とにかく、落ち着こう。
下半身に血を通わせている場合じゃないんだから。

【光彦】
「……それじゃ、ちょっとだけ我慢して。
  大きいけど、そのぶん効き目あると思うから」

【桃花】
「あ、ぅ……は、はい……」

 


 



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