【里桜】
「天迫さん、大丈夫? 血が出てるけど……」
【恋星】
「平気だよ、ちょっとちくってしたくらい」
【若葉】
「ちょっとじゃ済まないでしょ、蛇に噛まれたのよ!」
【里桜】
「え……まさか、毒蛇ですか!?」
【若葉】
「光彦くんっ! 早く、蛇の毒を吸い出さないと!」
【光彦】
「あ、あぁ、早く吸い出して……吸い出し!?」
若葉に呼ばれ、反射的に振り返る。
だがそこには、素晴らし……いや、大変な光景が広がっていた。
若葉が恋星の足を抑え、噛まれた傷を俺の前に晒している。
だがその傷は、とても際どい所にあって……
【恋星】
「きゃああ! み、みっくん見ちゃダメ!」
【光彦】
「み、見ない! 俺は見ないぞ! ガン見なんてしてない!」
【里桜】
「ちょっと会長、何してるんですか! 光彦、あっち行ってて!」
【若葉】
「光彦くん、里桜ちゃん! そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!
恋星ちゃんの命がかかってるのよ!」
【光彦】
「い、命っ……わ、わかった、どうすればいい?」
必死にやましい心を殺し、目の前の事実に意識を向ける。
目前に思いっきり晒された、恋星のパンツ……ではなく、その横にある小さな傷に。
小さな傷だが、微かに血が滲んでいる。
毒がまわる前に処置しないと、大変なことになりそうだ。
【若葉】
「光彦くんが、毒を吸い出すのよ」
【光彦】
「吸い出すって……どうやって?」
【若葉】
「だから傷口に口をつけて、思いっきり吸うのよ」
【光彦】
「む、無理無理! いくらなんでも場所がまずいって!」
【若葉】
「大丈夫よ、こんな洞窟じゃ別に誰も見てないから」
【光彦】
「そういう意味の場所じゃなくて!
傷の位置的に口つけるのまずいって!」
【若葉】
「だからそんなこと言っている場合じゃないでしょう! 光彦くん、男なら腹を決める!」
【光彦】
「男だからやばいんだってば!!」
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